

30年ほど前、プロレスラーになる夢を勝手に諦めて、枚方市で普通に過ごしていました。
でもどこかにずっと燻り続けていた思いがありました。
「完全に諦める前に一度リングに上がってみたい」
なんとなくそう思って毎日を過ごしていた時、週刊プロレスにこんな記事が載っていました。
「無我道場、大阪で無料セミナー」
読んでみると、堺市の体育館にリングを組んで、一般参加可能なセミナーをやるんだそうな。
これはリングに上がれるチャンス。
しかしその記事に気づいたのは申し込み締め切りが過ぎそうなタイミング。
どうしても参加したくて、プロレスラーになりたかった、でも諦めたけど最後にリングに上がりたい、と思いをしたためて申し込み。
程なくして、締め切りが過ぎていたにも関わらず「ご参加ください」と返信がありました。
当日若干緊張しつつ二時間近くかけて会場に辿り着きました。
体育館のドアを開けると、そこには憧れに憧れた青いキャンバスのリング。
周りも僕と同じ様な若者が集まっていました。
準備運動をして少し基礎体をやって、じゃあリングに上がりましょうという事に。
一礼して階段を上がり、ロープを掴み跨いだ途端、ブワッと涙が溢れました。
ああ、これが僕が子供の頃からずっと憧れていたリングだ。ここに上がりたくてずっと過ごしてきたんだ、と、いろいろな想いが頭の中を駆け巡りました。
とは言え今日は単なる練習体験会。他の参加者も多数居る。バレない様にこそっと涙を拭い、練習に参加しました。
そしてそこで次なる驚きと嬉しさが。
実際に藤波さん自ら、練習の手解きをしてくださるという事に。
その種目は二人組の腹筋運動。四つん這いのパートナーの上に跨って、足を引っ掛けて行うというもの。
説明が始まった途端、藤波さんと目が合いました。
「君体格良いな、ちょっとこっち来て」

